知っていることと体験することは別の問題

僕が勉強している西野亮廣エンタメ研究所内の記事は1年後から使用していいことになっています。
全ての記事ではありませんが、これは君たちに残しておいた方がいいかもしれないと思う記事はここに載せておきます。ぜひ参考にしてみてください。

本題の前にお知らせさせてください。
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3月20日(土) ※3月22日以降は『いいね』を押さないでください。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
おはようございます。
アカデミー賞授賞式の会場で、「コロナの関係で、今年はお酒は出ません」と聞かされた瞬間に、先ほど、飲酒に期待を膨らませて飲んだ『ウコンの力』を全力で吐き出そうとしたキングコング西野です。
#それはさておき素敵な式でした

さて。今日は、昨夜、僕がアニメーションのスタッフさんに話した『認知は時間を奪わない』という一つの仮説を皆さんにも共有したいと思います。
まだ、転用例などは見つかっていないのですが(※これはすぐ見つかる)、とっても大きな「気づき」だと思います。



人はなぜ「知っている作品」を観に行くのか?

アカデミー賞の授賞式が終わり、僕らはさっそく「次」に向けて動いています。
昨夜は、次回作の構想について、作品の中身は勿論のこと、「コミック原作やテレビドラマの映画化が全盛の中、オリジナル作品を届ける為にはどうすればいいのか?」というテーマについても深く議論しました。

作ったところで、お客さんに観に来ていただかないことには、作り続けることはできないんですね。
2016年に出版したビジネス書『魔法のコンパス』では、「お客さんは確認作業でしか動かないから、業界人が精を出している『ネタバレを防ぐ作業』は、まったく逆効果だ」と説きました。
【Amazon】https://www.amazon.co.jp/dp/4391149192/ref=cm_sw_r_cp_apa_i_K8FA5AWG42MGPEQ8TX1J

 「ルーブル美術館の近くに寄った時に、入館料を払ってルーブル美術館に入って『モナリザ』を観る理由は、教科書で『モナリザ』を観たことがあるからだろう?」と。

旅行もそうですね。

基本的に人は、テレビかネットかパンフレットで「見たことがある場所」しか、旅行先として選びません。


『魔法のコンパス』を出版した時に、「ネタバレをしたら買う理由がなくなるじゃないか」という反論があったので、直後、「鎮まりたまえ」と言って、絵本『えんとつ町のプペル』を無料公開してみました。

少し手厳しい言い方になりますが、『ネタバレを防ぐ』が有効的な手となるのは、中身を知られたら集客が遠退いてしまう「弱い作品」だけです。

『もののけ姫』の公開時は、事前番組で、ほぼ全ての内容を観ましたが、迷わず映画館に向かいました。「本物を観たい」という動機です。

 人は、利益を得る場面では『確実に手に入る』を優先し、反対に、損失を被る場面では『最大限に回避する』を優先する傾向があることが分かっています。
#プロスペクト理論#行動経済学

要するに、「ハズれる可能性が含まれているところに張るぐらいなら、実入りが少なくても確実に当たるところに張っちゃうよね」という話です。

今、日本は猛スピードで貧しくなっていますし、日本人は猛スピードで忙しくなっています。

言い換えると、「お金と時間の無駄遣いを猛スピードで嫌っている」と言えるかもしれません。

となると、10年前に比べて「知らないもの」「見たことがないもの」「ネタバレしていないもの」に賭けるリスクは高まっているので、「知っている(見たことがある)『本物』」に人が集まる流れは避けられません。

『劇場版 鬼滅の刃』がそうですし、踏み込んだ話をすると、当時、絵本『えんとつ町のプペル』の無料公開は業界関係者からも(無料公開したことを)避難されましたが、「無料公開しない絵本」をヒットさせるなんて、現代では、ほぼほぼ不可能です。
#ほぼほぼね

……で、
ここまでは『損失回避マーケティング』の話で、この話は、5年も6年も前からさせてもらっているんです。

今日のお話ししたい「人は『知っているもの』を選ぶ」という話は、これまで話してきたような『損失回避』の話じゃないんです。

今からお話しすることは、絶対に(転用できる)可能性があるので、死に物狂いでメモっておいてください。

認知作品は時間を奪わない

ものすごく意外かもですが、「テレビ初公開のあのメガヒット映画!」の番組視聴率って、そこまで良くないんです。

それよりも、千万回こすられている『天空の城ラピュタ』や、『となりのトトロ』の視聴率の方が良かったりします。

なので、日テレさんは、番組改編の時期(裏で新番組が始まる時期)に、ジブリ映画をぶつけたりすることがあります。皆が観たことがあるジブリ映画は今尚、テレビのキラーコンテンツです。

人が「内容を知っているジブリ映画」にチャンネルを合わせる理由は、もちろん、『損失回避』もあるでしょう。

「面白いかどうか分からない裏番組を観るぐらいなら、ラピュタを観よう」といった。

僕はその理由以外に、もう一つ、人が「知っている作品(番組)」を選ぶ理由があると思っていて、それが、『知っている作品は席を外せるから』です。

CMに入ったタイミングではなくて、“視聴者のタイミングで”トイレに行っても、ゴミを出しに行っても、ストーリーを知っているから「戻ってこれる」んです。

テレビ初公開の「まだ観たことがない映画」だと、そんな真似はできません。

ストーリーに着いていくには一言一句逃すわけにはいかず、テレビに2時間ヘバリついておかなければならないのです。

「知らない作品」は自分のタイミングで席を外せないから、メチャクチャ時間を奪われるんです。

 究極はスマホです。 

知らない作品はスマホをイジりながら観れないんです。

目線が外れてしまうから。

 『天空の城のラプュタ』が放送される時に、「バルス祭り」が起きますが、「皆が『バルス』のタイミングを知っている」というのは勿論のこと、そもそも、スマホをイジれるのは「ストーリーを知っているから」です。

ジブリ作品は、友達とLINEしながら観ることができるので、全然時間を奪わない。知られれば知られるほど時間を奪わないので、人間が忙しくなればなるほど強い。「音声メディア」みたいなノリで、「ながら観」ができるんです。

 ……話をまとめます。

コロナで貧しくなったじゃないですか?

多くの日本人はとにかくマネーリテラシーが低いので、貧しくなった分を、「お金に働かせて取り戻す」を選ばず、「労働時間を増やして取り戻す」を選ぶことは間違いありません。

余計に忙しくなるでしょう。

その時、一つの考え方として、「いかに時間を奪わないコンテンツを提供するか?」が大切になってきます。

#クラブハウスは時間の奪い過ぎで失速した

今日話しした『認知作品は時間を奪わない』を頭の片隅にでも置いておいてくださいな。
また、転用例が見つかれば、ここで共有しますね😊
 
現場からは以上でーす。
 
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https://youtu.be/uwQGeqxzu9Y

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