ネーミングの重要性

えんとつ町のプペル 西野亮廣エンタメ研究所【過去記事】

4月12日(月) ※4月14日以降は『いいね』を押さないでください。

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おはようございます。

いつもインタビューでは「蕎麦しか食べない」と言っていますが、蕎麦以外も食べるキングコング西野です。

#すっごく嘘をついている

 

 

さて。

今日は『ネーミングとタイミング』というテーマでお話ししたいと思います。

こんなタイトルでアレなんですけど、「サウナ」の話です。

 

 

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▼ 「ととのう」

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20歳の頃。

東京に出てきたばかりで右も左もわからない僕は、インパルスの堤下君に首根っこを掴まれて、やたらとスーパー銭湯に連れていかれました。

メインは「サウナ」です。

当時の僕が抱いていた「サウナ」のイメージは最悪で、「運動で脂肪を燃焼させることを放棄した中年達の巣窟」といったところ。

『サウナストーン』とは、動くことから引退し、サウナや水風呂で地蔵のごとく固まっている彼らの名称だと思いきや…どうやらそうではなかったようだ。

 

どういうわけか、昔から芸人の中では「サウナ」が生きていました。

 

大阪だと「劇場出番終わりで、合コンに行く前にサウナを挟む」という文化があり、合コン相手の女の子との待ち合わせ場所の定番は、サウナが入っているビル『アムザ』前。

当時は「オジサン臭くて嫌だなぁ」と思ったもんです。

僕は一つの場所でジッとしているのが苦手で、「どうせ汗を流すのなら運動で流したい」と考える方なので、比較的早い段階でサウナーとは決別したのですが、その後も芸人達の間ではサウナが生き続けます。

調べてみたところ、『アメトーーク!』で「サウナ大好き芸人」が放送されたのは【2008年11月27日】とあります。

ただ、当時はまだ「サウナの何がええの?(笑)」が多数派で、「……はいはい。何も分かっていない貴方達に、サウナの魅力をお教えしましょう」というスタンスが【ボケ】として成立していました。

サウナブームはまだ起きておらず、その後しばらくは「サウナ」を耳にする機会も減りました。

 

再び「サウナ」というワードを頻繁に聞くようになったのは、2014年頃でしょうか(ごめんなさい。正確に覚えてないです)。

「最近、また、サウナの話題がアチコチであがっているなぁ……」と思い、少しだけアンテナを立てていたら、『ととのう』という言葉が飛び込んできました。

 

その瞬間、「ん? 『ととのう』って何?」と、背もたれから背中が離れたのを覚えています。

 

聞けば、どうやらサウナのメインディッシュは、あの「運動で脂肪を燃焼させることを放棄した中年達の巣窟で過ごす時間」ではなく、

「水風呂の中で地蔵と化す時間」でもなく、

それらを3回ほど繰り返した後にやってくる「椅子に座って空気に触れている時間」だというではありませんか。

#何それ

 

そんなところに宝が埋まっていることを知らない僕は、『ととのう』前にサウナに背を向けてしまった、ととのい知らず。

 

こんな人間にサウナの良し悪しを語る資格などありません。

だって、まだ知らないんだもの。

その後の「サウナブーム」は皆さんが知るところ。

「そこまで言うのなら、一度、ととのってみたいなぁ」と考えた人は僕だけじゃないでしょう。

 

話はここからです。

 

 

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▼ タイミング

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「サウナブームの立役者」で検索すれば、いろいろ出てきますが、僕のような「いやいや、サウナには興味ねーよ」という人間の耳を引っ張ったのは『ととのう』というワードでした。

サウナブームの仕掛け人の方は、当初、そのゾーンに入ることを『恍惚』や『サウナトランス』や『ニルヴァーナ』と呼んでいたそうなのですが……きっと、その名前では僕のようなサウナ情報感度が低い人間には届かなかったと思います。

『ととのう』という言葉には、「ととのった/ととのっていない」が含まれていて(「not」が含まれていて)、自分がまだ「ととのったことがない側の人間」であることがイメージしやすかったんです。

なので、「ととのってみたい」となった。

語感の良さもありますね。

なんだか、言いたくなる。

 

今のサウナブームの引き金の一つには、『ととのう』という【ネーミング】があったと考えられます。

#ベテランサウナー達の間では昔から使われていた言葉だそうです

 

 

次に、今日のサウナブームは【タイミング】も大きく寄与しているように感じます。

 

特定の技術の成熟度、採用度、社会への適用度を示す『ハイプ・サイクル』というものがあります。

テクノロジー系の方には耳馴染みのある言葉だと思います。

最新テクノロジー(サービス)は……「黎明期」「流行期」「幻滅期)」「回復期」「安定期」に分けて見ていくと、その盛り上がりは【N字曲線】を描くことがよくあります。

「ビットコイン」をイメージしていただけると分かりやすいかもしれません。

皆の期待が集まった時は猛スピードで過度に盛り上がるのですが、流行りがピークを迎えた直後に、もう誰も話題にしないような「幻滅期」がやってきます。

それでも、一部の人達がしぶとく続けて、もろもろの環境が整ったタイミングで、「回復期」が来て、再びジワジワと盛り上がり始めて、「安定期」に入る……とまぁ、そんな感じです。

サウナの歴史を見てみると、過去に何度かブームが起きているのですが、僕が「オジサン臭い」と思っていた数年前はハイプサイクルで例えるのならば「幻滅期」だったのかもしれません。

ところが、その直後に「SNS疲れ」がやってきて、

次にアルゴリズムを追いかける人生がバカらしく思える季節がやってきて……

そういった「発信力を持った数字に強い人達(疲れるほど数字と向き合った人達)」が、駆け込み寺のように「サウナ」に流れた。

 

サウナが再び盛り上がる条件が揃い始めたわけですね。

 

その回復期に入る【タイミング】で、『ととのう』という【ネーミング】が掛け算的に作用して、今に至ったのかもしれません。

きっと【タイミング】だけでは、こうはならなかったでしょう。

良い【ネーミング】は使い方までを示してくれます。

僕は「制作過程を販売する」ということを昔からやっていたのですが、けんすうサンが「プロセスエコノミー」という名前を付けた瞬間に、一気に進めやすくなりました。

#説明しやくすなった

それでいうと、「回復期に入ろうとしているのに(環境が整いはじめているのに)【ネーミング】の後押しがないから盛り上がりきれていない」というシーンや商品をチョコチョコ見かけます。

 

一度、ご自身のサービス・商品の【タイミング】を【ネーミング】を確認して見てください。

【タイミング】は自分一人の力でどうしようもありませんが、

【ネーミング】は自分の力でどうにでもできます。

ちなみに僕は、自分が『えんとつ町のプペル』で大きく仕掛ける【タイミング】と、

社会が大きく変わろうとする【タイミング】で、

『革命のファンファーレ』という本を出して、「革命」というワードを頂戴した直後、一気に仕事のオファーが増えました。

各企業が「変わらなきゃ」という会議を繰り返していた【タイミング】です。

『魔法のファンファーレ』だと、ああなっていなかったと思います。

参考までに。

 

現場からは以上で〜す。

 

 

 

【追伸】

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